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BIM/CIM

  • 近年は、ICT(Infomation & Communication Technology)の発達によって、スマートフォンなどでもGIS(Geographic Information System)を活用できるようになり、さまざまな分野で地図、地形情報が広く一般的に利用されるようになりました。
    Google Mapなどクラウド上の地図は、さまざまなサービスで情報共有・情報活用のベースマップとして使われており、その情報は気付かぬうちに更新され、常に進化することでより利便性の高いものになっています。

    さまざまな情報基盤となっている地図を書き変える(だけではないですが)土木インフラは、「計画」、「調査・測量・設計」、「施工」、「維持管理」、「更新」といった多くのプロセスを繰り返して供用されています。多くの人々が長期にわたって関わるプロジェクトであり、計画から施工までにも多くの知恵や情報が詰め込まれ、また、供用開始後にも補修などによって施設の属性情報が更新され続けます。

    土木インフラ整備においても、ICTを利活用したCALS/EC(公共事業支援統合情報システム)が運用され、電子納品によって業務成果が共有・活用されるようになりました。
    しかし、現在運用中のCALS/ECは、汎用2次元CADの利用が前提であり、図面データには属性情報が組み込まれていないため、プロジェクトが進捗するにしたがって以後の過程で利用すべき情報が欠落してしまう可能性があるといった欠点があります。残念ながら、情報活用という点では発展途上段階にあり、各段階での成果を十分に活用できているとは言えません。
    このため、さらなるICT活用によってCALS/ECを発展・改善し、建設生産システム全体を改善する必要があります。

    現在、土木インフラの構築、維持管理における運用手法として、「CIM」(Construction/Civil Information Modeling/Management)が提唱され、国土交通省では試行業務が実施されています(設計業務、情報化施工)。
    建築においては、3次元モデルの建物に部材情報(数量、コスト)などの属性情報を付加した設計手法(「BIM」Building Information Modeling)が推進されています。
    BIM/CIMともに、ベースマップとなる3次元データモデルを作成し、各生産プロセスにおいてさまざまな情報を3次元データモデルに付加することで、建設生産システム全体の効率化・生産性向上、コスト縮減など多くの効果が得られる設計手法です。
  • BIM/CIMによる建設生産システムイメージ

    BIM/CIMによる建設生産システムイメージ

    各工程でのメリット

    企画計画・基本設計・調査・測量・詳細設計でのメリット
    • 比較検討など計画の迅速化
    • 合意形成の迅速化
    • 3D 構造解析など設計の高度化
    • 仮設(架設)計画などの5Dシミュレーション(3D+時間+コスト)による施工時のトラブル削減
    • 手戻り削減
    • 設計ミス防止
    積算・施工でのメリット
    • 5D シミュレーションによる施工管理(3D+時間+コスト)
    • 情報化施工による品質向上
    • 施工ミス防止
    • 設計見直し(変更)の減少
    維持管理・更新でのメリット
    • 計測機器組み込みなどによる管理の高度化
    • 事故発生時の対応の迅速化
    • 付加した属性情報による管理、更新履歴の構築
    • 計画的な更新計画の立案による施設の長寿命化
  • 次世代の建設生産システムのためには、BIM/CIMの活用が必須と考えています。ただし、統一した納品規格が制定されていない、技術者のスキルアップが必要、など多くの問題も抱えています。
    BIM/CIMの今後の動向に注視するとともに、当社独自の研究開発技術などと合わせて積極的に活用することで建設生産システムの向上に貢献します。

日本水工のCIMチャレンジ

当社は、「計画」、「調査・測量・設計」、「更新」とプロジェクトの起点や分岐点となる部分を担っています。 建設生産システム改善のため、CIM導入に積極的に取り組んでおり、現在は「3次元CADの活用による設計効率化、可視化、設計ミス削減」、「図面作成~数量計算まで一貫した地下埋設構造の設計」などで実績を挙げています。

ファームポンド設計
ファームポンドや管理用道路の実施設計で3次元CADを活用しています(AutoCad Civil3D)。
3次元現況地形モデルに計画を容易に展開することができるため、2次元CADによる作図に比べて作業効率は格段に上がります。敷地造成や道路設計において、現場の諸条件に合わせた最適な路線を検討することが容易にできるため、設計作業の効率が向上します。
また、地下埋設構造(配管など)を3次元で可視化することで、煩雑な配管計画での干渉チェックなど2次元では見落としがちな設計ミスを防ぐことができます。
ファームポンド設計
ファームポンド設計
水管橋設計
農業用水管の水管橋実施設計において3次元CADを活用しました(AutoCAD Civil3D)。
建設地点は盛土された道路が横河する地形で、2次元の図面ではわかりにくかった現況地形が、3次元で可視化することで容易に把握できるようになりました。
水管橋設計
水管橋設計
下水道管路設計
下水道管路設計など埋設管路の設計においては、輻輳した地下埋設環境に配慮し、3Dによる把握が設計の効率化・ミスの防止につながります。このため基本計画~認可設計~実施設計(設計図面作成・流量計算・数量計算etc.)~工事施工~維持管理図書のすべてに対して配慮された設計支援システム(PipeRapid )を使用しています。作成した設計データは、流出解析や出来高による台帳などへの移行、管理図書等CALSとしての継続的なデータ使用が可能です。また、上水道配管施設、農業用パイプラインなどへの適用も可能です。
下水道管路設計
下水道管路設計
頭首工景観設計
頭首工施設の景観設計手法として、景観シミュレーションソフトを活用して、3DのCGを作成しました。
3次元リアルタイム・バーチャルリアリティソフトを使用することで、施設全体のデザインや色合い、素材感といったイメージを3Dで表すことが可能です。川の流況やゲートの動作なども確認することができます。
頭首工景観設計
頭首工景観設計
建築設計
揚水機場の設計において、建築外観イメージの確認のため、3Dイメージ図を作成しました。これが当社のBIMへの第1歩です。
頭首工景観設計
CIMチャンピオン養成講座
次世代の建設生産システムのためには、BIM/CIMの活用が必須と考えています。
ただし、統一した納品規格が制定されていない、技術者のスキルアップなど多くの問題も抱えています。
BIM/CIMの今後の動向に注視するとともに、当社独自の研究開発技術などと合わせて積極的に活用することで建設生産システムの向上に貢献します。

これまでに、CIM研究科主催の「CIMチャンピオン養成講座」に参加しました。これは、CIM事業で多く活用され、当社も導入している「Autodesk Infrastracture Design Suite」の展開、スキルアップを目的とした講座です。
「AutoCAD Civil3Dによる地形データ作成、土木設計」、「Autodesk Revitによる構造物3次元モデル作成」、「Autodesk InfraWorksによる3次元モデル空間の作成」、「Autodesk Navisworksによる4D工程シミュレーション、アニメーション」などに対応しています。
*記載されている製品名は他社の登録商標または商標です。