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着物勤務始めました。

着物勤務のすすめ

私は令和6年の4月頃から、着物で勤務をしています。
現地調査などの出張の日以外は、ほぼ着物で出勤します。

日常ではなかなか着物を着る人がいない現代で、私が着物を着るようになったきっかけと、そして仕事にまで着物で行こうと思ったいきさつ、そして着物文化と農産業の歴史的繋がりについて紹介します。

着物との出会い

私は元々、成人式にもスーツで参加したほど着物に興味がなく、着物とは縁のない生活を送っていました。
着物は入学式や卒業式、成人式といった、特別なイベントで着るものだと思っていて、以前は自分で着付けすることもできませんでした。

私が着物に興味を持ったきっかけは、普段着で着物を着ていた友人でした。
それまで、振袖のような晴れ着の着物しか知らなかった私は、カジュアルな普段着着物があることに衝撃を受けました。

昔の日本人は着物を普段着として毎日着用していたので、晴れ着よりむしろカジュアルなものの方が多いことは想像に難くないのですが、自分がそれすらも知らなかった事にも驚き、日本人として着物文化をもっと知りたい、この身で着こなしたい!と思い、
その友人をつてに着物界隈に足を踏み入れ、今に至ります。

今では着物が大好きで、自分で集めたものと曾祖母から受け継いだものを合わせると、洋服を上回る数の着物を持っています。

曾祖母が普段着に使っていた小紋の着物でお出かけ。
華やかな着物は推し活にも最適!

オフィスカジュアルな着物の可能性を模索

仕事にまで着物で行こうと思ったきっかけは、「もっとたくさんの着物を着たい」という思いからでした。

休日は着物を着るのですが、休日は1週間に2日くらいしかありません。
1か月に、多くても9日しか着物を着るチャンスが無く、1回も袖を通さないままシーズンが終わってしまい、衣替えでタンスに仕舞う着物がたくさんありました。

「どうしたら着物をもっと着られるのか」を考えた結果、仕事の日にも着物で出勤すればいいことに気付きました。

私はたくさん着物を着られますし、同僚の皆さんに着物のことを知ってもらえて一石二鳥です。

弊社の内勤の服装規定はオフィスカジュアルですので、オフィスカジュアルな洋服と同じ考え方で、
少しにフォーマル寄りで、落ち着いた雰囲気と清潔感があり、かつ動きやすい着物をコーディネートして着ています。
(現地調査や取引先への出張などの際は、洋服の作業着やスーツなど、その場により適した服装で出向いています。)

次回以降に、オフィスカジュアルな着物や、着物の豆知識、楽に着物を楽しむ着付けの工夫などについて、
ブログで紹介できればと思っています。

農業関連事業に携わる身として ~着物文化と農産業のかかわり~

皆さんは、「きものの日」をご存じでしょうか。
全日本きもの振興会が11月15日に制定した、着物の普及と振興を図る日です。

農林水産省では、国内の養蚕業振興を目的として、11月15日に職員の皆さんが着物で登庁する取り組みをされています。

なぜこのような取り組みがなされているのかというと、着物文化の振興が
農産業の一つである蚕糸業の発展のために、重要な役割を持つからです。

着物の原料の一つである絹(シルク)は、蚕(カイコガ)の繭から得られます。
絹を生産する農業である養蚕は、明治期には、我が国が世界における最大産出国であるような一大産業でした。

今ではなかなか見ることのない養蚕の様子。 私の実家でも、曾祖父の時代には畑で桑を栽培し養蚕を行っていたそうです。
蚕の繭を紡いで作られるシルクは、昔から、独特な艶と滑らかな肌触りが特徴の高級素材として、世界中で珍重されてきました。

しかし、現在、養蚕を営む農家は全国において150戸を下回り、
1930(昭和5)年には40万トンを記録していた繭の生産量は、2023(令和5)年には45トンまで減少し、衰退が著しい状況です。

蚕糸生産減少の原因は、代替化学繊維の登場や採算性の低迷、国際的な価格競争など様々ありますが、
現代人の普段着が和装から洋装へ変ったことで着物を着る人がいなくなり、シルクの需要が激減したことで、
養蚕が産業として成り立たなくなってしまったことも大きな要因です。

最近、巷では着物ブームが来ているのですが、それでも着物を持っている・自分で着付けができるという人は珍しく、
「着物は特別な日に着るファッション」というイメージを持っている方が多い現状があります。

一方で、着物は庶民の生活と産業に根差し、日本の文化として古くから受け継がれてきたものであり、
今でも現代人の多くの方が「日本人のアイデンティティである」という感覚をお持ちなのではないでしょうか。

色鮮やかな着物たち。 着物の織物には様々な伝統技法がありますが、需要の低迷によりその技法のほぼ全てが、技術的伝承の危機に瀕しているか、すでに途絶えてしまった現状があります。

私自身が、今の時代に農業分野の仕事に就く身として、そして着物好きとして、
着物がもっと普遍的なファッションになり、さらには一般的な文化・産業として振興することを夢に、着物を着続けたいと思っています。

私の着物勤務を通じて、皆さんが持っている着物の特別感や窮屈で難しそうなイメージを払拭して、
気軽さ・可能性と魅力を発見していただき、
そして、誰かが着物を着るきっかけになることができれば嬉しいです。